こんばんは、ワラベシンです。
以前紹介した脳卒中治療ガイドラインで【テレリハビリテーション】の文言が良く出てきましたね。
というわけで今回は英語論文の紹介です。
今回は
【Effects of a 9-Week Hybrid Comprehensive Telerehabilitation Program on Long-term Outcomes in Patients With Heart Failure: The Telerehabilitation in Heart Failure Patients (TELEREH-HF) Randomized Clinical Trial】
という論文を紹介します。
日本語訳的には【心不全患者に対する遠隔リハビリテーションに関する無作為化比較試験: 心不全患者の長期予後に対する9週間のハイブリッド型包括的遠隔リハビリテーションプログラムの効果】って感じです。
目的

この論文の目的は以下のようになっています。
心不全患者への9週間のハイブリッド包括的遠隔リハビリテーション(以下:HCTR)介入後の生活の質の結果の潜在的な改善が、通常のケアと比較して、12〜24か月の追跡期間中の臨床結果の改善につながるかどうかを評価すること
少し簡略化するとHCTRの長期予後に対する効果を検討する、といった感じでしょうか。
対象と方法

対象とアウトカムは以下の通りです。
・9週間の遠隔リハビリテーション+通常ケア(hybrid comprehensive telerehabilitation: HCTR)群と通常ケア(usual care: UC)群の2群に1:1の割合で割り付け
・14〜26ヶ月間の経過観察期間中の死亡(全死亡、心臓死)、入院(全入院、心血管入院、心不全入院)の有無を調査
・主要アウトカムは、研究参加日から経過観察期間内の在宅生存日数割合(%)
また介入方法は以下の通りです。
・HCTR群には、テレケア、遠隔リハビリテーション、および埋め込み型デバイスのリモート監視が含まれる。
・残りの研究期間には介入は発生しなかった。
結果

本研究では、経過観察期間中の全死亡(HCTR群vs. UC群[以下同順]:12.5% vs. 12.4%, p=0.86)、全入院(58.1% vs. 60.5%, p=0.32)ともに2群間で有意差を認めませんでした。
同様に心血管死、心血管入院や心不全の有無も2群間で有意差を認めませんでした。
一方で、6分間歩行距離(30.0m vs. 20.7m, p=0.01)、最高酸素摂取量(0.95ml/min/kg vs. 0.00 ml/min/kg, p<0.001)、QOL[医療転帰調査ショートフォーム-36質問票スコア](1.6点 vs. 0.0点, p=0.008)の変化量はUC群に比べてHCTR群が有意に高値でした。
しかし、本研究では、心不全患者において在宅生存日数割合の改善に対するHCTRの有用性を示すことができませんでした。
まとめ

在宅での生存日数での比較では有意な差が認められず、長期予後に関してはまだまだエビデンスの蓄積が必要であると感じました。
テレリハビリテーションの言葉自体がまだ新しいものですし、今後の研究に期待ですね。
論文内にモニタリング方法や介入の具体的内容の記載はなく、他の論文とかとも照らし合わせて吟味する必要はある内容でした。
原著はこちらから
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pubmedにとびます。
またこの論文は【日本理学療法士協会の解説付き英語論文サイト】にも掲載されています。
リンクはこちらから
協会員の方であれば無料でアクセスできるので、ぜひご覧ください。
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今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!
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