認知症検査 CANDyとは

リハビリ・医療関係

おはようございます、ワラベシンです。

先日SNS上の知り合いの方から本をいただきました。

認知症の方の見ている世界や、関わる側の人がどのような対応をするべきかといったことが書かれています。

その中で認知症の検査・評価の一つとして日常会話の特徴から評価を行うCANDyというものが紹介されていました。

臨床において認知症の検査というとHDSーRやMMSEがよく使われます。

会話から評価するCANDyやメリットデメリットについて結論を述べた後、以下に解説していきます。

結論
国際的に広く使われているのはMMSEであり、組み合わせて使用するには有用か

まずCANDyとは

CANDyは認知症の人に見られる15個の会話の特徴について、自由な会話の中でその出現頻度を評価します。

CANDy(日常会話式認知機能評価)公式ホームページより

30分程度(細切れでも可)の会話を想定し、出現頻度を①全く見られない(0点)、②見られることがある(1点)、③よく見られる(2点)の3つに分類します。

各0~2点で30点満点の検査(得点が高いほど認知機能の低下)です。

6点以上を認知症の疑いありとした場合、アルツハイマー型認知症の高齢者と健常高齢者を感度86.2%、特異度94.5%という高い精度で判定できることが示されています。

CANDy(日常会話式認知機能評価)公式ホームページより引用

メリット

では概要がなんとなくわかったところで、CANDyを使うことによるメリットを見ていきましょう。

1.日常会話の中で評価でき、検査者、被検査者双方にとって抵抗感が少ない

MMSEなど従来の認知機能検査の多くは、正解、不正解のあるテストによって能力を評価するものです。

こうした検査は客観的な評価が可能な反面、検査を受ける高齢者にとっては能力を評価されることになるため、苦痛を感じることがあります。

苦痛を感じることにより検査者との関係性が悪化した場合、その後の治療や支援にも影響するため、検査者側も苦痛を感じることがあります。

その点、CANDyは日常会話の中で評価するため、検査を受けている実感がないため、こうした問題が生じません。

従来の検査:テストテストしている
CANDy:会話から評価するため、テストの実感なし

2.よく知った相手であれば、対面しなくてもこれまでの印象で評価が可能

CANDyは日常会話に現れる会話の特徴を評価するため、普段から話す方が相手であればこれまでの印象で評価することが可能とのことです。

私たちが開発過程で行った精神科・神経内科の医師と臨床心理士を対象に行った調査の結果では、その場で会話をして評価した場合、印象で評価した場合いずれにおいても認知機能の測定に有用であることが示されています。例えば、かかりつけ医師が患者さんの認知症を疑った場合、診察の合間を使って今までの診察時の会話を基に評価するといった使い方も可能です。

CANDy(日常会話式認知機能評価)公式ホームページより

よく知っている方であれば、これまでの印象から評価しても良い

3.正解、不正解がないため学習効果が生じない

MMSEなど正解・不正解がある認知機能検査の場合、定期的に実施することにより課題を覚えてしまい、実際の能力よりも高い得点を取ってしまうことがあります。

次の3つの言葉を答えて・・。

桜・猫・電車ですよね。

みたいな(笑)

こうした現象は学習効果と言われ、能力を評価する検査では避けることが難しいとされています。

しかし、CANDyは能力を評価する検査ではなく会話から採点するため、正解や不正解がなく、このようなことが生じません。

CANDyはいわゆる学習効果の誤差が生じない。

4.会話により、交流や生活状況の把握もできる

CANDyの評価をするためには、会話をする必要があります。

そのため、評価のために会話することによって、コミュニケーションをとる機会が増えます。

また、会話の内容は自由で良いため、日々どのように生活をしていて、どのようなことに困っているのかといった、生活状況の確認や把握にもつながります。

私たちの研究でも、介護士が施設の利用者と会話をして評価した場合、今まで気づいていなかった本人の肯定的な側面に気づく可能性があることが示唆されています。また、このような使い方は、例えば介護保険サービスの申請時の評価や、ケアマネージャーによる定期訪問時の評価などにも活用が期待されます。

CANDy(日常会話式認知機能評価)公式ホームページより

会話が促進されて、思わぬ情報が入手できるかも。

5.会話の特徴の出現頻度を評価するため、客観的な測定が可能

CANDyは基本的には会話の特徴の出現頻度を評価するものですので、客観的な測定が可能です。

ただし、より評価の精度を上げるためには、会話の特徴の質的な側面にも着目することが大切です。

これは、従来の多くの認知機能検査による評価では、得点だけでなく検査時の様子も含めた総合的な評価が重要であるということと共通しています。

客観的な測定が可能。

デメリット

私が確認した範囲では

ガイドライン上で推奨される検査・評価にてCANDyの記載はなく、少なくともガイドラインでは推奨されている評価ではない。

現在認知症に関するガイドラインとしては【認知症診療ガイドライン2017】が最新となっています。

その中で有用な評価尺度としてMMSEが紹介されています。

また主な認知症検査としていくつか挙げられていますが、その中にCANDyは含まれていません。

認知症診療ガイドライン2017より引用

どのように活用すればいいのか

従来から使われているMMSEなどと併用するのが良いかと思います。

公式ホームページ(以下にリンクあります)で紹介されている論文はそれぞれ2017年、2018年であり、ガイドラインに反映されていないことも考えられます。

まとめ

会話から認知機能を評価することは、被験者にテスト特有のストレスを与えずに済むため、ぜひ今後活用していきたいところです。

現状はMMSEなど国際的にも使われている指標などと併用していくことで、臨床場面や実生活における問題点が抽出できれば有用かと考えています。

冒頭で紹介した本ですが、CANDyのことだけでなく、認知症の方の世界観に少しでも知るためにも是非一度読んでみてほしいです。

記事が良いなと思ったら、SNS等で紹介してもらったり、友人・知人に広めてくれると嬉しいです。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

コメント

タイトルとURLをコピーしました