【リハビリテーション職向け】血液データの見方と使い方

リハビリ・医療関係

おはようございます、ワラベシンです。

皆さんは普段の臨床場面で血液データは見ていますか?

血液データですべてがわかる!とは言いませんが、リハ介入時に負荷量の調整や、そもそもリハをやってもいい状態なのか?といった判断基準の一つになります。

日ごろ臨床で働く中で「なかなか結果が出ない(患者さんが良くならない)」と悩んでいる方は一度見ていただくことをおススメします。

先に結論ですが、血液データを見ることで

【体の内部から対象者の状態を知ることができます】

介入の前に確認しよう

まず「血液データはいつ見るものなのか?」という点ですが、基本的には最新の血液データを介入前に確認しておくことが良いです。

しかし、回復期や生活期で働いている方であればわかりますが、そんなに頻繁に検査しないのです。

そういう場合は直近の検査値を確認し、介入時のフィジカルアセスメントであったり、その他の画像などから情報を収集して照らし合わせることが良いでしょう。

フィジカルアセスメントを行う中で「なんかいつもと違うな」ということがあれば、主治医であったり、かかりつけ医、担当のケアマネジャーへの報告などを行い、検査をしていただくように打診しましょう。

また可能であれば時系列で変化を追いましょう。血液データは体内の情報をリアルタイムで提供してくれます。検査値の変化を追うことで、改善・悪化の判断ができます。

リハビリテーションが実施できる状態なのかを判断する

リハビリには中止基準があります。リハビリテーション職の方は血圧や脈拍などに中止基準があることはご存じかと思いますが(いわゆるアンダーソン・土肥の基準ですね)、血液データにもあります。

例えば癌患者に対するリハの中止基準(血液所見)は ヘモグロビン7.5g/dL以下、 血小板50,000/ul以下、 白血球3,000ul以下 と定められています。

医師から処方が出ているからと言って、対象者の方の体調が万全でなければ、状態を悪化させるリスクがあります。

介入前に自身でも血液データを確認し、もしも中止基準に当てはまるようであれば、主治医に確認することおススメします。

リハビリテーションにおける負荷量の調整をするのに役立てる

中止基準に当てはまらなくても、リハ介入時の負荷量を調整するのに確認しておく必要がある指標もあります。

例えば炎症の有無を表すCRP値です。

CRP値は体内の炎症の状態を反映する指標のため、数値が高ければ負荷量を下げる必要があります。

またAlb(アルブミン)やTC(総コレステロール)などは栄養状態を表す指標となります。

栄養状態が良ければ積極的なレジスタントトレーニングなども行えますが、栄養状態が悪ければ最低限の離床活動、廃用症候群の予防といった介入内容に調整するといった具合に役立てましょう!

自分の介入の効果判定を行える

歩けなかった人が歩けるようになったなどはとても分かりやすい効果判定ですが、血液データからでも効果判定は行えます。

例えば糖尿病を患っている方でHbA1cの数値が基準値より高い方がいたとします。運動療法を行った際、その数値が減っていれば血糖コントロールが改善していることが判断できます。

※糖尿病の場合はHbA1cが改善したとしても、食事療法や薬物療法による効果の可能性もあります。体重や脂質異常の指標(中性脂肪など)その他の数値と合わせて判断しましょう!

このあたりのことはまた次回以降に詳しく解説していきます。

1つの指標にとらわれないこと!

検査値の中には体内で異常が生じてすぐに反応を示すものもあれば、ゆっくりと変化するものもあります。

例えば炎症所見として先ほど例に出したCRP値ですが、最大値まで上昇するには2~3日ほどかかり、下がるのにも同じくらいの時間がかかります。一方でWBC(白血球)は炎症が起きてすぐに上がり、炎症が収まるとすぐに下がります(1日で最大値まで上がり、2~3日以内に治まります)。

そのため勤めている場所によってみるべき指標が変わる可能性もあります。長期的な視点で見る検査値とすぐに確認するべき検査値があるということを知っておくとよいです。

また、当然ですが血液データは対象者の方の情報の一部に過ぎません。

その他に肺や脳などの画像所見や心電図などの検査や対象者の方の個人因子(その人の人生観など)、環境因子(同居家族や現在の住まいや周辺環境など)など確認すべきことは多いです。

それらの情報を統合して、現在できる最善のリハを提案・提供していきましょう。

おわりに

検査値には基準値がありますが、検査データは数多くあります。すべて覚えることは難しいと思いますので、その都度本や資料などを見返して確認すれば十分です。

「対象者のことを知ること」はリハビリテーションを行う上でとても重要です。知るための一つの手段として血液データを利用していただけたらと思います。

今回使用した参考図書は

日本離床学会が出版している【寝たきりゼロへ進化中 実践!離床完全マニュアル2】です。

今回解説の中で出てきたCRP値やAlbなど各検査値に関することも今後記事として更新していこうと思いますが、こちらの本を読めば理解が深まるかと思います。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

コメント

タイトルとURLをコピーしました