おはようございます、ワラベシンです。
以前の記事でがんは2人に1人なる病気だといいました。
現在の医療では、早期発見や治療法の進歩により生存率が向上し、【 がんと共存 】する時代となってきています。

がんになるとどんなリハビリをやるの?

どんなことに気を付けないといけないの?
こんな疑問に答えます。
消化器や肺などのがんの場合、代表的なものに呼吸リハビリテーションがあります。
術後は肺炎を起こすリスクがあります
しかし、手術前から介入することで合併症の予防ができるといわれています。
本記事を参考にすることで、手術前のがんのリハビリの内容や注意点を理解する事ができます。
なお、本記事は【 がんのリハビリテーションガイドライン 】を参考に作成しています。こちらはネットから見ることができます。
しかし、最新版の【 がんのリハビリテーション診療ガイドライン 第2版 】が2019年に発刊されています。
こちらはネットで見ることはできませんが、「とにかく最新の情報が欲しい」というかたはそちらをご覧ください。
がんのリハビリの目的

病期により目的は異なりますが、今回は術前の予防的な介入に焦点を当てていきます。
主な目的は術後の肺合併症リスクの軽減です
開胸・開腹手術の場合、傷の痛みを訴える場合が多いです。
痛みにより動かなくなると、廃用症候群を招く恐れがあります。
また息がしづらくなったり、痰が出しにくくなります。
痰が出せないと気管に入り、肺炎を患う可能性があります。
その他の目的としては、体力の底上げを行いことです。
痛みが強く運動量が減ると体力は落ちてしまいます。
術前は痛くて動けないという方は多くありません(がんのほかに骨折などがあれば別です)。
術後思うように動けない期間が長くなる可能性もあります。
動ける間に体力をつけましょう。
術前からしっかし運動を行い合併症のリスクを下げましょう!
術後傷が痛む⇒動かなくなる⇒廃用症候群⇒最悪肺炎になる
この負のループを防ぐために術前からリハビリテーションを開始
リハビリの効果

リハビリテーションの介入を行うことで、術後の合併症が減り、入院期間の短縮が図れます。
上記のガイドラインによると
開胸・開腹術を施行される予定の患者に対して、術前から呼吸リハビリテーションを行うと、術後の呼吸器合併症が減るので勧められる。
がんのリハビリテーションガイドライン より
とあります。
ガイドラインにある論文によると、呼吸リハを行った群とそうでない群での術後呼吸器合併症の発生率は
肺がんで3.0%、4.2%、胃がんで0%、6.8%と、有意な差を認めています。
また
術後の入院期間の短縮のために、開胸・開腹術を施行される患者に術前から呼吸リハビリテーションの指導を行うことが勧められる。
がんのリハビリテーションガイドライン より
ともあります。
食道がん患者に対して、術前から呼吸リハを行った群とそうでない群で比べると、
入院期間がそれぞれ29.9日、67.9日と、前者が有意に短いことが報告されています。
リハビリの内容
主に歩行や自転車エルゴメーターなどを用いた有酸素運動と
深呼吸なども含む呼吸リハを中心に介入します。
私の職場では、手術前の方に対してトライボールという道具を使用して呼吸練習を行います。
トライボールの利点:結果が目に見えわかりやすい
トライボールは大きく息を吸い込むことでボールを上げる吸気トレーニングです。
息を吸う力に応じて浮き上がるボールの数が変わります。
そのため、ボールが何個上がるかによって、しっかり息を吸うことができているかを自分で確認することができます。
トライボールの欠点:認知症などにより理解力が低下していると行いにくい
トライボールはマウスピースを咥えて息を吸うことで、ボールを浮上させます。
しかし、認知症なので理解力の低下があると、うまくマウスピースを咥えられなかったりしてボールを挙げることができない人が多いです。
代用手段は深呼吸や身体活動量を増やすなどして対応しています。
その患者さんにとってどのような【 肺を膨らませる手技 】が習得しやすいかを見極めて指導し、術後も効率的に実施できるようにサポートすることが大事です。
トライボール
利点:結果が目で見て解りやすい
欠点:理解力の低下があると使いづらい
まとめ

がんのリハビリテーションのついて主に術前に行うことを書きました。
このほかにも開胸・開腹術に備えて起き上がり方法の指導も重要となります。
また術前から患者さんとの関係を構築することで、術後のリハをスムースにできることも術前リハの大事なポイントです。
術前からリハビリに関わって、スムースの機能回復、退院支援を目指しましょう!
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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