【 協働のすすめ 】回復期におけるリハ職と看護師の役割

リハビリ・医療関係

おはようございます、ワラベシンです。

病院や施設で働いていると多職種のスタッフさんと話す機会も多いと思います。

我々セラピストがコミュニケーションを避けて通れない相手・・
それこそが【 看護師 】です。

しかしこんな場面ないでしょうか?

看護師さんの言うこともわかるけど、こっちも仕事あるし・・

あのセラピストさん、さっきから足をさすってるけど何してるんだろう?

各病院で規模や地域性などによる違いもあるとは思いますが、おおむね原因は以下の2つです。

①それぞれの役割を理解できていない
②各々の役割を果たせていない

今回は上記の疑問や原因の解決のために、回復期病棟における【リハスタッフ(セラピスト)】と【看護師】の役割について解説していきます。

【 結論 】
各々の専門性を尊重しつつ、お互いに言い合える関係性が大事

回復期病棟でのリハスタッフの役割

リハスタッフ(セラピスト)といっても理学療法士、作業療法士、言語聴覚士に分かれています。
職種によって注目する視点は変わりますが、基本的な役割には変わりはありません。

セラピストの専門性

①適切な面接と評価
②正しく利点と問題点の整理
③上記を加味して最大限可能性のある目標設定
④目標を達成するための治療プログラムの立案
⑤より効果的で、エビデンスに基づく治療の実施

職種による違いはあれど、私たちセラピストの基本的な専門性はここにつきます。

あのセラピストさん、さっきから足をさすってるけど何してるんだろう?

冒頭のこのシーンですが、後輩のセラピストに関して、私が看護師さんに言われた言葉です(もっととがった言い方でした・・)。後日解決しましたが、その話はここでは割愛し、また別の機会に執筆します。

回復期病棟は脳血管障害の方などは、最大で180日入院する場合もあります。
そのため、麻痺や筋力などの機能障害の改善も求められますし、退院後の生活を見据えた日常生活動作(以下ADL)や生活の質(以下QOL)の改善も求められます。

機能障害の改善のためにモビライゼーションなどの手技は必要です。
しかし、慰安的なマッサージとは区別しなければなりません。目的のないマッサージはお金の無駄使いです。今一度目標の設定と共有を行いましょう。

またADLやQOLの改善といって【 歩くことができないから、とりあえず歩行練習 】といったプログラムだったり、入院早期から代償動作の獲得のみに終始することも問題です。
【 とりあえず歩くだけ 】であれば別にセラピストでなくてもできます。やはり目標の設定と共有が重要です。

脳卒中における目標設定については以下の本をおススメします。各病期ごとにも執筆されており、脳卒中に関わる方は必読の本です。

生活をつくる視点で、協働が必要

①まずは【 できること 】を増やそう
②リハで行った内容が病棟生活でも行えているのか
③病棟生活で行えていることが、少しでも楽に行える方法はないか

現在回復期病棟では、その質の評価にFIM(日常生活の動作などを点数化したもの)の利得というものがあります。これは簡単に言うと【 どのくらいの期間でFIMをどのくらい上げられたか 】を表しています。

ですから、【まず日常生活において、できることを増やす】ということは、セラピストの大切な役割です。

気を付ければならないのは以下の場面です

あの患者さん、リハでは杖で歩いてるけど、車椅子はいつまで使うの?
病棟でも歩けそうなら歩いたほうがいいんじゃない?

この場合、リハの場面では杖で歩いていて、病棟生活では車椅子を使っていることがわかります。

できる能力:杖で歩くことができる
している能力:車椅子を利用している

もちろん【 杖で歩いている 】以外の情報がないので、これだけでは何とも言えません。
足が引っかかって転ぶ可能性が高いとか、体力がなくてこまめに休憩が必要とか、周りを見る余裕がなくて人にぶつかる危険性があるとか・・理由はいろいろ考えられます。

重要なのは、現在の状況と今後の見通し(仮でもよい)を看護師さんと共有する事です。

例えば、杖で歩けるという状況をまず共有します。
体力がないというのであれば、まずはトイレや食堂に近い部屋に病室を移動する選択肢ができます。
また足が引っかかりやすいとか、周囲に目が向かないのであれば、まずは見守りの元歩いてもらうといった選択肢ができます。

あとは上記の対策に期限を設けること。
例えば、見守りをしてくださいと言っても、看護師さんも人数が限られています。患者全員を見守るわけにはいきません。特に夜勤は。

足が引っかかりやすいため転倒リスクがありますが、バランスの評価上は見守りで歩くことができるところまで改善しています。今歩き方に関して指導していますが、改善には一か月ほどはかかると思います。その間、病棟で見守りで対応ができそうであれば、車椅子は撤去可能です。

上記の質問に対して、このように【現状と対策】、【その期限】を伝えることができれば、こちらの意見も通りやすいです。

回復期病棟での看護師の役割

セラピストと看護師さんの一番の違いは【 対象者に関わっている時間の長さ 】です。

回復期病棟では集団でのリハビリではなく、個別での対応を行います。その個別でのリハ時間中は濃密に関わることができますが、別の方への対応が難しくなります。

そこでリハ介入時以外の患者さんの状態を把握するためには、看護師さんとの協働は必要不可欠になります。

病棟でのADLへの関わり

セラピストと看護師のADLへのかかわり方の違い

食事をとって、歯磨きも終わった。
では〇〇さん、お部屋に戻って休みましょう!

ちょっと待って!〇〇さん、よろしければトイレに大丈夫ですか?

例えば、トイレ誘導では、【 どのタイミングでトイレに誘うか 】ということを考えます。


どの方でも「失敗して迷惑をかけたくない」といったことを思っています。そのためうまくいくタイミングを把握することはとても大切です。
水分の摂取量やタイミング、食事の量と排せつを結び付けるのは、我々セラピストより看護師さんが得意とする場面です。

もちろん、しんどそうにされていれば、上記の場面も【一旦自室に戻って休んでから】といった対応も必要かもしれません。
しかし、呼吸や循環の状態に関してもやはりセラピストより看護師さんの方が得意かと思います。

また関わる時間が長い看護師さんの方が、排せつパターンを把握しやすいので、必要に応じてリハ介入時間を調整するなどの助言をいただけると、こちらも対応がしやすいです。

トイレ自体の介助量(移乗や下衣の上げ下ろしなど)はセラピストが得意とするところですから、お互いの意見のすり合わせをしていきましょう。

看護師だから気づけることはたくさんある

看護師が生活場面での気づきを他職種に伝えられるか

以下はベッドでの食事介助場面です。

(介助にて摂取を促しながら)○○さん、しっかり飲み込んでくださいね。

(なんでベッドで食事をする必要があるんだろうか?できれば車椅子で明るいところに連れて行ってあげたいなぁ)

セラピストも決して意味がなくベッドで食べさせているわけではないです。

ベッド上であれば、体勢がきつくなく、気分が悪くなったらそのままベッドをおろせばいいですし、飲み込みに障害がある方は、ヘッドアップの角度の調整も行いやすいです。

しかし、看護師さんに【 その条件である理由 】が伝わっていないのであれば、確認する必要があります。

セラピストの立場からすると、【 もう少しやりやすい方法はないか? 】【 こうすれば楽にできるんじゃないか? 】といった指摘は非常にためになります

まとめ

それぞれの職種だけでなく個人でも考え方が違います。

しかし、医療職である以上【 患者さんに元気になってほしい 】と思って今の仕事をしていることと思います。

自身の役割を全うしつつ、他スタッフの役割を尊重し、相乗効果でチーム医療を行いましょう。

それは結果的に患者さんの利益となり、病院の口コミなどにもつながります。

なお今回は下記の本を参考に執筆しました。
発行が2012年と少し古いのですが、現時点でも通じる場面が多くあります。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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